古事記暗号一覧

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黄泉国ヨミノクニ神話

ホツマツタヱの黄泉国神話はイサナミを「噴火活動が鎮静化した火山」に例え、イサナギとイサナミの時代に火山が噴火し、まもなく鎮静化したことを伝える神話である。
これに対し、古事記は次の三つの改変を加えている。
①噴火した火山が二つあったことの明確化と、その場所を伝えるための改変。
②ココリ姫の事績である「白山守シラヤマかみ」説話を融合して、大王位と女王位の関係性や、その場所を知らせるための改変。
③ホツマツタヱではアマテルの事績として記されている「アマテルの子アマツヒコネとセオリツ姫の山陰への進出と撤退」の説話を融合し、その説話の場所を詳しく伝えるための改変。

比婆ひばの山・伊賦夜いふや
【挿入】イサナミは「出雲国いづものくに伯伎国ははきのくにの堺の比婆ひばの山」に葬られ、イサナギとイサナミが絶交した場所「黄泉比良坂よもつひらさか」は今は「出雲国いづものくに伊賦夜いふや坂」というとする。
ホツマツタヱでは「イサナミは有馬に納む」となっていて、絶交の場所「黄泉比良坂よもつひらさか」についてはそれがどこにあるか記されない。
豊後(出雲)と肥後(伯耆)の国境には「産山うぶやま(ヒバヤマ)」地名があり、そこには「有馬」地名が残る。産山村・有馬は阿蘇山東麓であり、一つ目の火山は阿蘇山である。
なお、産山村の有馬ヶ淵には姫伝説も伝わる。≫産山ぽーたる「有馬ヶ淵の大蛇」 (スマホ版)
伊賦夜いふや坂については、「由布(大分県由布市)」に「谷(挟間町谷)」地名がある。当地にはイサナミを祭神とする白岳神社がある。由布・谷は九重山登録であり、二つ目の火山は九重山である。
ホツマツタヱと火山

脇戸わきど黄泉神よもつかみ黄泉津よもつ大神
【改変】イサナギが死んだイサナミを連れ帰ろうとすること、イサナミが自ら出迎えること、イサナミがイサナギの誘いに「黄泉神よもつかみと相談してみる」と答えること、イサナミが「決して覗かないように」と忠告すること、イサナミが黄泉津よもつ大神おおかみと名づけられることなどは、すべて古事記の創作である。
ホツマツタヱでは、イサナギがイサナミに会いに行くのは単に「悲しいから」であり、イサナミに会いに行こうとするイサナギに「見ないほうがいい」と忠告するのはココリ姫(イサナギの妹)である。古事記のイサナミにはココリ姫の事績が融合されている。
イサナミが出迎えた場所の解釈については諸説があるが、本居宣長が『古事記伝』(1790年)で「脇戸」説を唱えている。この「ワキド」は向津具半島と深川湾の境界にある黄波戸きわどだおの「キワド」のアナグラムになっている。白山守ココリ姫の「根の白山下シラヤマト」が山陰地方にあったことを踏まえれば、黄波戸が九州と山陰の境界とされていたということだろう。
ホツマツタヱは、ココリ姫は日高見国(遠賀平野)のヤソキネと結婚して夫婦で白山守となったように記す。しかしそれは攪乱であり、ヤソキネとココリ姫の婚姻は成立せず、ココリ姫は山陰の王と結婚して4代女王に即位した。ホツマツタヱにも暗号は組み込まれているが(白山守の暗号)、古事記は黄泉国神話を改変し、イサナギとイサナミにそれぞれヤソキネとココリ姫を融合することによってそれを補完している。
さらに古事記は、結婚相手である山陰の王を「黄泉神よもつかみ」とする一方でココリ姫自身を「黄泉津よもつ大神おおかみ」とする。これは連合の最上位にいるのは女王であって、大王はその女王によって擁立される存在であることを伝えている。ホツマツタヱで、ココリ姫が夫とともに政治を行ったように記されるのも女王が大王より上位にあることを伝えるための暗号であるが、古事記はそれについても補完的な暗号を組み込んでいるのである。≫女王の国
なお、女性で政治参加したように記されるのは、ほかにオモイカネとともに「根と細矛国サホコクニ」を治めたワカ姫、そして「おうなまつり何処いつこある」と夫ホノアカリに離縁されたスガタ姫の例があるが、ワカ姫は5代女王、スガタ姫は9代女王である。ちなみに、ホノアカリはスガタ姫によって擁立される大王となることを拒否したのである。

黄泉軍よもついくさ千引ちびきいし
【改変】イサナミの忠告を無視したイサナギは、「黄泉軍よもついくさ」に追われて逃げ帰り、ようやく「千引ちびきいし」で道を塞ぎ、そこでイサナミと絶交した。これも「絶交」の話以外は、すべて古事記による改変である。
この改変では、ホツマツタヱが「ハタレ討ち(反乱者の討伐)」神話の「アマテル御幸」の説話で伝える「アマテルの子アマツヒコネとセオリツ姫の立太子・立太女と、山陰への進出と撤退」という史実が黄泉国神話に融合されている。ここではイサナミはココリ姫に象徴される山陰王権であり、イサナギはアマツヒコネ・セオリツ姫一行である。
そして、「千引ちびきいし」の「チビキ」は「ヒヂキの灘(現在の響灘)」のアナグラムであり、「石」は響灘沿岸の二岩浦(山口県下関市豊北町・二見地区)から陸路で山陰地方に向かうルート上にある「石峠いしだお」である。
「絶交」はここでは「終戦」の意味であり、黄波戸にあった九州と山陰の境界が、この戦争の結果、陸路では石峠いしだお、海路では二岩浦になったことを意味している。なお、「ヒヂキの灘」については万葉集に補完的な暗号が組み込まれている。≫万葉集の暗号「響灘」

なお、一連の暗号から「根の白山下シラヤマト」は黄波戸峠以東であることがわかる。そこで、山口県萩市大井の宮の馬場遺跡に比定したい。南西2.75㎞に「城山」があり、原見山「白山シラヤマ」の転訛とみる。

大国主神話

大国主神話はホツマツタヱに元となる説話がない完全な古事記の独自創作である。
ホツマツタヱは九州王権の立場から記されており、山陰勢力の記述は不足している。それを補うための創作であろう。

因幡の白兎説話
【創作】ワニ(住吉)を騙して懲らしめられていたウサギ(宇佐=宗像)を助けたオオナムチがソサノヲの娘(タケコ)と結婚した。

気多けた
【創作】オオナムチがウサギを見かけた場所として記される。ケタとは日高見の西殿・方壺ケタツボ(福岡県水巻町・水巻三山)のことである。宇佐宮が遠賀平野にあったことを示す暗号である。

天孫降臨神話

タチカラヲは佐那々さなながたに坐す
【挿入】タチカラヲは信濃にいる、すなわち、信濃諏訪に追放されたタケミナカタとはタチカラヲのことである、ということを伝える暗号。サナナでシナノ(信濃)を表す類音による暗号は、カササでカズサ(上総)を表す暗号と対になっている。

韓国からくにに向かい … 朝日のただ刺す国、夕日の照る国
【挿入】ホツマツタヱの対応部分は「亀に乗り行く 鹿児島や 曽於高千穂の 日に辞む 朝は朝間の 日に向かふ 日向ひむかふ国と」である。その地は韓国に近く、朝日も夕日も見ることができる東西が短い島、すなわち対馬である。ニニキネはウカヤフキアワセズ隠匿の罪で鹿児島(対馬)に流罪となった。対馬からは島の東西で前漢鏡が出土している(東のエーガ崎遺跡(長崎県対馬市峰町櫛)、西の下ガヤノキ遺跡(同町三根))。

笠紗かささ御前みさき真来まき通りて
【挿入】ニニキネは鹿児島(対馬)に島原半島を「巻き通って」行った、すなわち外洋に出て行ったことを伝えるとともに、コノハナサクヤ姫との婚姻の舞台が当時上総と呼ばれていた島原半島であることを示している。カササはカズサ(上総)の類音であり、サナナでシナノ(信濃)を示す暗号と対になっている。なお、現在も島原半島の南端部には「加津佐」地名が残っている。

海幸山幸神話

赤海鯽魚
【改変】ホツマツタヱが「アカメが鯛の口に鉤を見つけた」と記すのに対して、古事記は「鯛」に充てる漢字を「赤海鯽魚」とし、「アカメ自身が鯛である」と改変して補完している。

四つの鉤の呪文
【挿入】ハテスミが山幸に対して、鯛(赤海鯽魚)の口から見つかった鉤をホノススミに返す時に唱えるように指示した呪文「此のは、淤煩釣おほち湏々釣すすち貧釣まづち宇流釣うるち」 ≫「十八の姫
ホノススミの妻となった人物はアカメ(アメミチ姫)が生んだ四姉妹のひとりであることを示す。
「オホ」はホオテミ、「スス」はホノススミの意で、それぞれの妻となったミハオリ姫とスセリ姫のこと。
「マヅ」は「先ず」の意で四姉妹の長女モトメ、「ウル」は双子の隠語「うるり」のことで、スセリ姫の双子の姉妹アサ姫のこと。